定期テストの点数で成績の7~8割が決まる
まず何といってもテストが本格的だということです。
中学校では教科ごとに先生が違います。
それだけ小学校に比べて専門性が高く、内容が難しいです。
小学校のテスト
教科書10ページ分くらいの小テスト
教科書の文字が大きく内容が少ない
基本が中心で平均点が高い、70点や80点でも普通
こまめにテストを実施
中学校のテスト(定期テスト)
教科書30~40ページ分くらいの実力テスト
教科書の文字が小さく内容が多い
記述や応用が多く平均点が低い、70点や80点なら優秀
年に5~6回だけ実施 ※学力調査等は除く
目安としては1学期に2回、2学期に2回、3学期に1~2回の頻度でテストがあります。
つまり学期の通知表が、たった1~2回のテストで決まります。
中学校の通知表はこう決まる
通知表では教科ごとに1~5の評定で成績がつけられます。
実は5段評定がつくまでには、次の2段階を経ています。
「観点」ごとにA,B,Cの3段階で評価
全ての観点評価を総合して教科として5段階に評価
「観点」ごとのA,B,C評価は、テスト結果や授業態度、提出物などから総合的に判断されます。
何を評価対象にするかは学校によって違いがあります。
実際には学年や学期のはじめに学校側からプリントが配られますから、それを見て下さい。
また、2021年4月より通知表のつけ方が変更されました。
これまでは、以下の4つの観点から成績がつけられていました。
・意欲・関心・態度
・思考・判断・表現
・技能
・知識・理解
「意欲・関心・態度」とは、学習内容に対する興味や関心を持っているか、積極的に課題に取り組んでいるかといった側面を評価するものです。また、「思考・判断・表現」は課題解決のための思考力を持っているか、そして自分の考えを表現できるかといった観点となります。そして、「技能」は課題解決のための技術を身につけているかどうか、「知識・理解」は、国語や数学といった各単元において必要な知識を理解しているかどうかという観点です。
これらの観点から各単元で評価され、成績が決められます。
新しい通知表のつけ方
新学習指導要領では、従来の4観点から以下の3観点へと変化しています。
・知識・技能
・思考・判断・表現
・主体的に学習に取り組む態度
「知識・技能」とは、各生徒の知識や技能の習得状況を評価するものです。学習した知識や技術を、すでに知っている知識や技能と関連づける・活用する中で、習得状況が評価されます。また、「思考・判断・表現」とは、各教科で学んだ知識や技術を活用して課題を解決するために必要となる思考力や判断力、表現力を備えているかを評価します。そして、「主体的に学習に取り組む態度」とは、知識や技術、思考力・判断力・表現力を身につけるために粘り強い取り組みを行い、試行錯誤しているか、学ぼうとしているかといった意思的な側面を評価するものです。
※ちなみに小学校、中学校共に現在の成績のつけ方は「絶対評価」といいます。
(以前まではクラスの中で優秀な子5人は”5“をつけるといった「相対評価」でした。現在は極論クラス全員が”5”をもらう事も可能な「絶対評価」へとシフトされました。)
「勉強」とは「作業」ではなく「準備」
小学生と中学生では、そもそも「勉強」の意味が違います。
漢字の「宿題」を例に見てみましょう。
小学校の宿題では、このように出されてきました。
「ノートに10回ずつ書き取りして来なさい。」
つまり「宿題」=「作業指示」で、「勉強」=「作業をやる」でした。
中学校になると、このように出されます。
「書けるようにしてきなさい。」
つまり「宿題」=「準備」で、「勉強」=「いつテストされても書けるようにする」となります。
テストで点数が取れれば、やり方の詳細は問われません。
「作業」と「準備」の区別が勉強のコツ
中学校で良い成績を取るためには、とにかく「作業」と「準備」を明確に区別することです。
自分の勉強が「良い準備」になるために、集中すること、授業を聴くこと、ノートにメモすること、などが必要になってきます。
勉強を好きでやろうが嫌いでやろうが、やる気があろうが無かろうが、関係ありません。
小学校の時と同じ感覚で「作業」ばかりやる生徒は、やった割には点数が取れません。
「準備」をたくさんした生徒がよい点数を取れるようになっています。
何を覚えるにしても
「明日聞かれたら答えられるかな?書けるかな?」
などと想定しながら取り組んでいる生徒さんが点数を伸ばしていきます。
そして、やる気や好き嫌いを超えて、自分の気持ちをコントロールしながら必要な準備ができるように成長することが、人間らしい「理性の獲得」と言えましょう。
「勉強する理由」の1つが、この「理性の獲得のため」と言えます。
正確にたくさん暗記したもん勝ち!
小学校の勉強は「体験」と「理解」がメインでした。
一方、中学校の勉強は「正確な表現」がメインと言えます。
「正確な表現」とは、教科書に出てくる「用語」や「説明」のことです。
中学生は、教科書の「用語」と「説明」を自分の頭の中に正確にコピーするのが基本です。
応用問題や思考力を問う出題でも、やり方(説明)も含めて覚えてしまえば解けます。
ですから、理系科目でも、記述問題でも、たくさん覚えた人が多く点を取れます。
あいまいな記憶は0点と同じ
そして何より大切なのは暗記が「正確」でなければならないこと。
1文字も間違えず正確に覚えて、初めて点数が取れます。
例えば、今頃の中学2年生がやっている直角三角形の合同。
その合同条件の暗記は、1文字でも間違えば、本当に×になります。
国語として同じ意味かどうかは関係ありません。
直角三角形の合同条件の記述回答
〇 「斜辺と1つの鋭角がそれぞれ等しい」
× 「斜辺と1つの角がそれぞれ等しい」
× 「斜辺と鋭角がそれぞれ等しい」
× 「斜辺と1つの鋭角が等しい」
× 「1つの辺と鋭角がそれぞれ等しい」
× 「辺と鋭角が1つずつ等しい」
英語はもっと典型的です。
まず中学校の3年間に覚えるべき必須単語が約1200語~で、近年の教育改革によりさらに増えていきます。
また書くことの多いテストでは、細かいチェックが待っています。
英作文「彼女は私にペンをくれた。」の回答
〇 She gave me a pen.
〇 She gave me pens.
× She gave me a pen (ピリオドが無い)
× she gave me a pen (文頭が小文字)
× She gives me a pen.
× She give me a pen.
× She give me pen.
英文法を理解していれば解けますが、その英文法を正確に覚えて、しかも使えるように準備しておく必要があります。
理科も同様です。
まず実験をしたら、実験に出てくる用語、実験の前後の様子を正確に覚えます。
「炭酸水素ナトリウム」は「加熱」すると「二酸化炭素」と「水」と「炭酸ナトリウム」に「分解」する。
理科用語が6個も出てきました。
しかし、それはほんの出発点です。
それぞれの用語を正確に理解したうえで、それぞれの化学式も覚える必要があります。
物質それぞれの化学式
・炭酸水素ナトリウム NaHCO3
・二酸化炭素 CO2
・水 H2O
・炭酸ナトリウム Na2CO3
炭酸水素ナトリウムの熱分解の化学式
2NaHCO3 → Na2CO3 + CO2 + H2O
この化学式も考えれば組み立てられますが、それに必要な知識を覚えてから考え方も覚えて、正確に使えるようにしておく必要があります。
細かく正確だから暗記する量も多い
この様に、中学生になったら、教科書に出てくる用語に注意して、とにかく正確に意味と書き方を覚えることです。
正確に細かく覚えようとすれば、それだけ1つのことから暗記すべき項目が増えます。
中学の教科書は字が細かくなり、ページ数が増え、書いてあることが多いです。
少しでもサボると、どんどん知らないことが溜まり、記憶もあいまいになります。
毎日すこしずつ、新しい用語を正確に覚えて、書き取りしておく。
これが中学生らしい勉強です。
意外にも小学校で習ったことの反復・拡張が多い
厳しいことばかり書いてしまいましたが、安心できる要素もあります。
それは教科書の「全てが新しい事ではない」ということです。
小学校で習ったことを繰り返しながら、内容がより細かく高度になっています。
例えば、小学生で習った「比例」と「反比例」は中学1年生の数学でも習います。
小学生では値の変化の様子を表や式にし、グラフの概形も描きました。
中学生では、これを文字と座標で表し直します。そしてグラフから式が逆算できるように進化します。
同じように、国語、理科、社会、英語も、小学校で習ってきたことを、より細かく、高度にしていくのが中学校です。
逆に言えば、小学校の勉強をおろそかにしていると、中学校でも苦労してしまいます。
小学校を卒業するまでに、しっかりと復習しておきましょう。
なお、中学お受験を経験したお子様は、その点で有利です。
正確に暗記する習慣が身に付いているだけでなく、国数社理のほとんどが中1レベルまで既に仕上がっているからです。
まとめ
今回は小学校と中学校における勉強や成績の違いについて解説しました。年々教育改革が進められています。お読みいただいている保護者の皆様の受けられてきた教育と同じ部分もあれば違っていることもあるでしょう。
大事なのはその時代とお子さまに合った環境や教育を大人が提示してあげられるかどうかです。
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