こんにちは、個別指導学院ヒーローズ富塚校、教室長の鈴木です。
「土曜の自習室、何を持たせればいいですか」
ある土曜日の朝、あるお母さんからそんな連絡をもらいました。お子さんは前の日までに宿題を終えていて、でも次に何をやればいいか本人もよくわかっていない。手ぶらで行かせていいものか、迷っていらっしゃる様子でした。電話の向こうから、少し申し訳なさそうな声が聞こえてきたのを覚えています。そのお気持ち、僕はすごくよくわかります。

「何も持たずに来ていいのか」その不安、実はとても自然です
うちでは無料の講習として土曜自習室をやっているんですが、その日、その子は少し不安そうな顔で教室に来ました。かばんを膝の上に置いたまま、中身を出そうか出すまいか迷っているような、そんな様子でした。声をかけると、「宿題は終わってるんですけど、次に何をすればいいか分からなくて」と、ぽつりと言いました。
正直なところ、自習なんだから、本人がやりたいものを持ってくればそれでいい。理屈で言えばそうなんです。でも、宿題という「決められたもの」が終わった瞬間、次に何をやればいいか、急にわからなくなる。これは、サボりたいとか準備不足とかいう話ではなくて、「やることが決まっていないと落ち着かない」という、わりと自然な感覚なんですよね。僕はこれを、その子の弱さだとは思いませんでした。むしろ、真面目にやろうとしているからこそ出てくる迷いだと感じました。
話を聞いていくと、その子は、ワークを埋める、宿題を出す、というところまでは得意な子でした。でも、「次に何をするか」を自分の頭で選ぶ場面には、あまり慣れていなかったんだと思います。これは、料理でいうと、材料は切ってあるのに「今日のメニュー」だけ決まっていない状態に近いかもしれません。手はあるのに、レシピがない。だから、その子も一瞬、手が止まっていました。
「完璧に準備してから」じゃなくていい、と僕はその子に伝えました
「じゃあ、今かばんに入ってるやつで、何か使えそうなのある?」と聞いてみると、少し考えてから、一冊のワークをかばんの奥から出してきました。教室にある貸し出し用の教材も使っていいよ、とは伝えたんですが、テスト勉強が目的なら、新しいものに手を出すより、今出してきたそのワークを徹底的にやり込んだ方がいいよ、という話もしました。正解を先に教えるのではなく、その場で一緒に「じゃあ今日はこれをやる」と決めていく。それが、僕がその日、その子としたことです。
これは、その日限りの自習室のやり取りですが、僕にとっては単なる持ち物の話では終わらないものでした。その日やることを自分で選ぶ経験を、少しでも積んでいってほしいと思ったからです。誰かに決められて動くのではなく、今の自分の状態を見て、自分で次の一手を選ぶ。大人が全部お膳立てしてしまうと、一見スムーズに見えても、本人の中に「自分で選んだ」という感覚が残りません。少し遠回りに見えても、僕はその日、「一緒に決める」時間を大事にしました。
手ぶらで来たその子は、帰るころには自分で決めていました
その日、最初は「何も持ってません」と申し訳なさそうにしていたその子は、時間が経つうちに、「次はここのワークをやり直す」「英単語をやってから数学に行く」と、自分から言うようになっていきました。完璧に準備できていたわけではありません。むしろ、迷いながら来て、その場で一緒に決めて、その日なりのやり方を見つけていった、という感じでした。
帰り際、「次に来るときは、ここまでやってくる」と、自分からかばんに教材をしまいながら言っていたのが印象的でした。教室に入ってきたときの、あの不安そうな顔とは、少し違う顔をしていたと思います。
その姿を見て、僕は改めて思ったんです。持ち物や準備が整っているかどうかより、「今日は何をやるか」を自分の言葉で言えるようになることの方が、ずっと大事なんじゃないかと。
朝の連絡をくださったお母さんには、正直、持ち物の話だけで終わるかもしれないなと思っていました。でも、実際に教室で起きたのは、その子が自分で「今日やること」を選び直す時間でした。もし、あのとき「手ぶらで行かせるのは心配だから、やっぱりやめておこう」となっていたら、この時間は生まれていなかったと思います。迷いながらも送り出してくださったこと自体が、その子にとって一つのきっかけになっていたんだと思います。
もし今、「うちの子、テスト前に何をすればいいかわからないみたいで」と感じているなら、それはめずらしいことではないと、僕はこの日のやり取りを通して改めて思いました。完璧な準備ができていなくても大丈夫です。まずは一度、僕と一緒に、お子さんが今どこにいるのかを見るところから始めませんか。ひとりで抱え込まず、いつでも無料の学習相談で声をかけてください。









