授業中、生徒のノートをのぞきこむことが、たまにあります。色分けされていて、図もあって、正直「これは自分でしっかりやっているな」と感心するくらい整っているノートです。それなのに、テストになるとなかなか点数につながらない。実は「あんなにまとめたのに、なんでだろう」って、一番不思議に思っているのは本人だったりします。
同じように、家でも一生懸命ノートをまとめている我が子を見ていて、それでもテストの結果には結びつかないことに、「頑張ってるのは伝わるのに、なんで結果に出ないんだろう」と、もどかしく思っているお母さんも多いんじゃないかと思います。僕は、その気持ちがすごくよくわかります。手をかけているのに結果につながらないというのは、頑張りを否定されているみたいで、見ていて一番つらいパターンだと思うからです。

まとめる力と、テストで使える力は、実は別の力です
結論から言うと、ノートがきれいなことと、テストで点が取れることは、別の力です。似ているようで、脳の使い方がまったく違います。
ノートをまとめる作業は、目の前にある情報を、色やレイアウトで整理する力です。これはこれで立派な力で、否定するつもりはまったくありません。でも、テストで求められているのは、その情報をいったん閉じて、自分の頭の中だけで引っ張り出してくる力です。見ながらできることと、見ないでできることの間には、実はけっこう大きな崖があります。
僕は生徒に「これ、ノート閉じて説明できる?」と、よく聞きます。すると、さっきまですらすら書けていた子の手が、ふっと止まる瞬間があります。この「フリーズしてる」瞬間こそが、本当は一番大事な情報だと思っています。サボっていたわけでも、理解していなかったわけでもなく、ただ「見ながらできる」と「見ないでできる」を、混同したまま勉強を進めてしまっていた、というだけのことが多いからです。
僕が大事にしている考え方のひとつに、勉強を作業として終わらせず、「あ、わかった」というワクワクの瞬間まで連れていく、という軸があります。ノートをまとめる作業自体は嫌いじゃない子が多いんです。手を動かしている安心感もあります。でも、そこで満足して終わってしまうと、テスト本番でいきなり「見ないでやる」を初体験することになってしまう。これでは力が出しにくいのも当然だと、僕は思っています。
「閉じたら止まる」は、恥ずかしいことじゃなく伸びしろのサインです
ここで大事なのは、閉じて説明できなかったことを、恥ずかしいことや失敗として扱わないことです。僕は、あの「止まる瞬間」を見つけられたら、むしろラッキーだと思っています。なぜなら、その瞬間まで気づかれないまま、まとめノートだけがどんどんきれいになっていく方が、実はもったいないからです。
僕自身、生徒がフリーズした瞬間に「あ、ここか」とわかったときは、責めるのではなく「じゃあ一緒に、見ないでやってみようか」と誘うようにしています。きれいにまとめられたこと自体は、素直にすごいことだと伝えたうえで、次の一歩として「使ってみる」を一緒に確かめにいく感覚です。
自分のミスや、わかったつもりになっていた場所に自分で気づいて、次はどう直すかを自分で選んでいく力。これも僕が長く大事にしてきた考え方のひとつです。ミスを指摘されて終わるのではなく、自分で見つけて、自分で評価して、次に活かす。この積み重ねが、内申点や本番のテストといった、自分の力を試される場面でじわじわ効いてきます。
家庭でもできる、ノートを「使う」に変える小さな一歩
面談でお母さんによくお伝えしているのは、大がかりな勉強法を変える必要はない、ということです。今のまとめノートは、そのまま生かせます。変えるのは、その後の一歩だけです。
- ノートを閉じて、白い紙に「さっき書いたこと」を思い出しながら書いてみる
- 「これ、説明してみて」と、答え合わせのつもりで軽く聞いてみる
- すらすら言えたら、そこは素直に「使えてるね」と伝える
- 止まった場所が見つかったら、責めずに「じゃあ、そこだけもう一回」と誘う
コツは、完璧に説明できることを求めすぎないことです。半分でも言えたら、それは十分な伸びしろです。「できた」「できなかった」の二択ではなく、「どこまで言えたか」を一緒に確認する感覚でいてもらえると、お子さんも身構えずに取り組みやすくなると思います。
富塚校で、実際にやっていること
富塚中をはじめ、浜松市内の中学生たちを見ていると、丁寧にまとめノートを作るのが得意な子は結構います。僕は、それ自体をやめさせようとは思いません。まとめるのが得意な子、まとめながら覚えていくのが合っている子にとっては、テスト2週間前に入るまでのまとめノート作りは、最強に近いやり方だと思っています。情報を整理する力そのものが、しっかり鍛えられているからです。
ただ、僕が生徒によく伝えているのは、テスト2週間前に入ったら、そこから先は少しやり方を変えようということです。まとめる作業から、閉じて思い出す・使ってみる作業へ、行動そのものを切り替えていく。本番のテストはノートを見ながら受けるものではないので、その2週間は「見ないでできるか」を確かめる練習に時間を使う方が、点数には直結しやすいからです。県学調や定期テストが近づいたときに、行動を切り替えられるかどうかが、地味だけど効いてきます。
家で「ちゃんとやってるのに、なんで点が伸びないんだろう」と感じている時間は、お子さんにとってもお母さんにとっても、けっこう孤独なものだと思います。でも、それは頑張りが足りないからではなく、「まとめる」から「使う」への一歩が、まだ言語化されていなかっただけかもしれません。
もしよかったら、一度そのノートをお子さんと一緒に持ってきてください。頑張ってきた形をきちんと認めたうえで、次にどこを一緒に確かめていけばいいか、お子さんの様子を見ながら一緒に考えたいと思っています。無料の学習相談でも、まずはそのあたりからお話しできればと思います。









