「将来の夢は何ですか?」と聞かれると、少し答えに迷ってしまう方もいるかもしれません。私自身も、子どもの頃は「医者になりたい」「スポーツ選手になりたい」などと具体的な職業名を挙げていた時期もありました。でも、今の私は少し違う形で夢を持っています。
それは、「小さな目標を常に持ちながら生きること」と、「周りから見て“楽しそうに生きている”と思われる大人になること」です。
一見するとふわっとした夢に思えるかもしれません。でも、私にとってはとても真剣で大切な想いが込められています。
「楽しく生きている大人」ってどんな人?
私がこのような夢を持つようになった背景には、現代社会の空気があります。
便利になったことも多い反面、日々の生活や仕事の中で余裕をなくし、常に何かに追われているような感覚を抱えている人も少なくありません。情報が増え、効率が求められる時代だからこそ、ひとりひとりにかかる負担も増え、社会全体がどこかネガティブな雰囲気をまとっているように感じることがあります。
そんな時代に、「大人になるってなんか大変そう」と思う子どもたちが増えてしまうのは、とてももったいないことだと思うのです。
だからこそ私は、「大人になるのが楽しみ」と思ってもらえるような生き方をしたいと考えています。辛いことがあっても、自分で小さな目標を決めて、一つずつ達成していく。それを繰り返す中で、自分らしく前向きに人生を歩んでいく。
そんな姿を見せることで、子どもたちに希望を持ってもらえたら嬉しいなと思います。
塾でのアルバイトが教えてくれたこと
そんな私が今、取り組んでいるのが「塾の講師」という仕事です。このアルバイトを通して得た経験は、将来の夢にも大きく関わる大切な学びとなりました。
特に印象的だったのは、「話すこと」への意識が大きく変わったことです。
それまでの私は、高校生という立場で、同世代か年上の人と接する機会がほとんどでした。そのため、話し方や言葉遣いについてあまり深く考えたことはありませんでした。
しかし、塾講師として教えるようになった相手は、自分よりも年下の小中学生たち。しかも、こちらは「教える側」です。どう話せば伝わるのか、どんな言葉を選べば理解しやすいのか、相手の年齢や性格に合わせた表現を考える必要がありました。
言葉を丁寧に選び、話し方を工夫し、難しい言い回しを避ける。そうした配慮が求められる中で、自分の「伝える力」が少しずつ磨かれていったように思います。
一人ひとりに合わせた対応の難しさと大切さ
もう一つ、塾講師として大きく学んだことがあります。
それは、「自分の意図を相手に合わせて柔軟に変えていく力」です。
生徒一人ひとりには、学力も性格も違いがあります。進み具合が早い子もいれば、つまずきやすい子もいます。全員が同じやり方で上手くいくわけではありません。
ときには、宿題を忘れてしまった子に対して「今日は授業でしっかりやってくれれば大丈夫だよ」と伝えたり、理解が追いつかない子に対しては授業内容を巻き戻して丁寧に復習したりすることもあります。
決められたカリキュラム通りに進めることも大切ですが、それ以上に「この子には今、何が必要なのか?」を考えながら対応することの方が、ずっと大切だと感じています。
こうした一人ひとりに寄り添った指導は、簡単ではありませんが、子どもたちが少しずつ理解していく様子を見ると、とてもやりがいを感じます。
この経験を、これからの人生に
塾での経験が、今すぐ将来の職業に直結するかと言われると、そうではないかもしれません。
でも、どんな仕事に就くとしても、「相手に合わせて伝える力」や「人の成長を見守る視点」は、きっと大きな力になると思います。
今後、立場が変わったり、人を支えるような役割を担ったりするときに、きっとこの経験が生きてくるはずです。そしてなにより、この塾の現場で得た学びは、自分自身の成長にもつながっていると実感しています。
最後に
私の夢は、「楽しく生きる大人になること」。
そして、その夢を叶えるために、今この塾での日々の経験を大切にしながら、目の前の小さな目標に向かって少しずつ歩んでいます。
塾で学んだ「伝える力」「寄り添う姿勢」「柔軟な対応力」は、きっと私を理想の大人に近づけてくれるはずです。
どんなに大きな夢でも、小さな目標を一つひとつ達成していけば、きっとその先にたどり着ける。そんなふうに思えるようになったのも、この塾での経験があったからこそ。
これからも、目の前の一歩を大切にしながら、自分らしく進んでいきたいと思います。