現在、小学6年生のあるNくん。
彼とのお付き合いももう長くなりました。
プログラミングの授業を通して、私はこの生徒の「学ぶ姿勢」に、何度も心を動かされてきました。
彼はこれまでに何度も受賞を重ねてきました。
ですが、その成果以上に心打たれるのは、いつでも真剣に、ひたむきに自分の課題に向き合い続けているその姿勢です。
生徒から教わる授業
先日の授業でのこと。
授業で使用しているシステムが少し重くなっていたのですが
なんとそのNくんがお父様とともに調べてきてくれたコードを活用したところ、動作が格段に軽くなりました。
非常に実用的で、思わず「なるほど…!」と唸る内容でした。
私も大いに感銘を受け、本部にも「こういった解決策があります」と報告をあげたほどです。
生徒の気づきや学びが、塾全体の改善につながっていく。
こんな喜びがあるのだと、教えてもらった瞬間でした。
そして何より、「この先生にだったら、自分の考えを伝えてみよう」と信頼してくれているのかなと感じられたのが、とても嬉しかったのです。
学習進度よりも、納得を大切に
彼は、現在 変数や関数コードを活用した、初級よりも高度なプログラム作成に取り組んでいます。
ただ「理解する」だけでなく、「起動」「デバッグ」を並行して行いながら、さらに「その活用法まで模索している」。
そんな姿が日々見られます。
中級コースに上がってからは、学習内容も複雑になり、進度がややゆっくりに感じられるかもしれません。
ですが、私はそれで良いと思っています。
というのも、彼は常に「完全に納得してから次に進む」ことを大切にしているからです。
ときには、カリキュラムの本筋から少し外れて、自分でアイディアを調べたり、試したりすることもあります。
まるで数学の公式を一から自分で導くように、独自の視点でプログラムを考え、動かし、確かめているのです。
試行錯誤を重ねる過程で、時にはプログラムが動かなくなることもあります。
そんなときも私は口出しをせず、本人からの挙手や質問があったときに、すぐ対応できるよう心がけています。
その姿勢に、私は強い信頼と敬意を抱いています。
遠回りのようで、最短の学び
一見、回り道をしているようにも見えるこの取り組み。
けれど、それが彼にとって最も効果的な学びだと、私は確信しています。
納得いくまで何度も反復し、いろいろな角度から試してみることで、
プログラミングに必要な「抽象化」「分解」「順序」「比較」「一般化」などの論理的思考が着実に育まれています。
成績や進捗だけでは測れない「思考の力」が、今、彼の中で確かに育っているのです。
人としての成長も
また、少し逸れますが…
この生徒さんの人間的な成長も、本当に素晴らしいものがあります。
教室に来ると、必ず私の目を見て、元気に挨拶してくれます。
一度も遅刻することはなく、すぐにPCを開いて準備に取りかかる姿も、毎回とても気持ちの良いものです。
最近では、他の生徒さんとPCの電源を譲り合ったり、社交性も育まれているように感じています。
学ぶ姿勢だけでなく、人としての成長も間近で見られるこの時間が、私にとっても大切な喜びです。
最後に
私たちは、結果だけを見る塾ではありません。
どんな風に学ぶのか、どう考え、どう成長していくのか——
そこを何より大切にしています。
この生徒さんのように、「自分の納得のいく学び」を大切にする姿勢は、私たち講師陣にとっても大きな刺激であり、誇りです。
今後も彼のペースに寄り添い、より良い学びができるよう、私自身も伴走してまいります。
そしてこれからも、いくつもの困難と出会うことでしょう。
でも彼ならきっと、大丈夫。
そう思わせてくれる成長が、そこにはありました。
ご家庭での支えがあったからこそ、Nくんは自分自身を信じ、歩き続けることができた。
私たちはその一部に関われたことを、心から光栄に思っています。
これからも、子どもたちの物語は続きます。
塾はその物語の“途中”にほんの少しだけ関わることができる存在。
だからこそ、その一歩一歩を大切に、まっすぐに、向き合っていきたいと、改めて感じています。