私がつい忘れる記念日は、6月10日の「時の記念日」です。祝日でないせいか、数日
後に「今年も忘れていた」と反省しています。
日本書紀に天智天皇10年(671年)、漏刻(水時計)で初の鐘を打ったのが6月10日
の記録があり、これを記念して大正9年(1920年)に定められたそうです。今では簡単に
正確な時間を知ることができますが、昔は信じられないような工夫をしたようです。
私が興味を持った一つが鹿児島市の観光名所、薩摩藩島津家別邸「仙巌園」の一角
にある「猫神社」です。ここには豊臣秀吉の文禄・慶長の役(1592~1598年)に島
津義弘が朝鮮に従軍する際に連れて行った猫が祭ってあります。猫の瞳孔は周囲の明
るさによって大きく変化します。それを利用して時刻を推測したのでした。
猫の瞳孔の形は歌にも残されています。「六つ(午前6時、午後6時)丸く 五七
(午前8時、午後4時)卵に 四つ八つは(午前10時、午後2時)柿の核なり 九つ
正午)は針」。猫の眼で時を知る方法は中国北宋時代に記録にもあるそうです。
猫神社に祭られているのは連れて行かれた7匹のうち生還した2匹です。武家社会
で凱旋を主に、生還したものが貴ばれたのでしょう。私は神社前で「人間の勝手な都
合で“戦死した”5匹も祭ればよいのに」と思いました。ここでは毎年の時の記念日に、
時計業者の人たちが集まり愛猫の長寿を祈願し、供養祭を営んでいるそうです。
時間は大切で、あなどれません。「まだ、たっぷりある」と油断しいていたら、い
つの間にか刻々と過ぎ去り「もう、余裕がない」と焦る。これは私も数えきれないほ
ど苦い経験をしています。今年も既に5月に入りました。部活や体育祭の準備などで
忙しい学校生活だと思います。一方で3年生にとって受験日は待ったなし。小学生や
他の学年も体調に気をつけながら計画的に学習していきましょう。
ヒーローズ福岡大野城校 竹本