福岡県立高、学区制維持のわけは 学区の多さ全国2位【13学区代表的な高校一覧】
(本日は、西日本新聞meの記事をシェアいたします)
来春の高校入試に向け、志望校の絞り込みを進めている中学生も多いだろう。
福岡県の県立高校の全日制普通科は、居住地によって13の学区(通学区域)が定められており、受験生は学区内の高校しか選べず、数もばらつきがある。
全国的には学区の廃止の動きもある中、学校選択の幅に不公平感を抱く生徒や保護者は少なくない。
なぜ、福岡で学区制が維持されているのか、探ってみた。 (仲山美葵)
●25都府県が学区廃止
文部科学省によると、学区制は戦後、高等教育の普及などを図る目的で導入された。
ただ、高校進学率は1970年代以降9割を超え、2002年の法改正で都道府県教委の学区設定義務がなくなった。
その後は学区を廃止する自治体が増え、21年時点で大分や宮崎など25都府県に上る。
福岡県は1949年度に約50学区を設けた。72年度に15学区に大幅再編し、2007年度からは13学区となっている。
県教育委員会は、生徒の選択肢を広げるためと、学区数を減らした理由を説明する。
ただ、13という学区数は21年時点で北海道に次いで2番目に多く、各学区で選択できる普通科高校(「特色のある学科・コース」を除く)も、1~8校と開きがある。
本紙は、県教委に開示請求し、県立高全校の過去10年の進学状況を入手。学区ごとに代表的な学校を選び、24年度の大学入試合格者数を比較したところ、「御三家」と呼ばれる福岡市の修猷館、福岡、筑紫丘と、北九州市の小倉、東筑の5校は東京大に合格者がいたが、他はゼロ。九州大など他の大学も差がついた。
「都市部に住む人しか難関大の合格者が多い県立高校を受験できないのは不公平だ」。
小学生の子どもがいる福岡県筑前町の女性は不満を漏らす。
福岡市へのアクセスの良さや住居費の安さから同町に移住した。住環境には満足しているものの、子どもの将来の夢をかなえるには、県外の大学に進学することを想定し、難関大の進学者が多い県立高校を目指した方が良いと考えるようになった。
福岡市の近くの方が、学校選択の幅が広がる。女性は学区の変更を目的とした転居も検討している。
●「特定校に集中」懸念
県教委はどう考えているのか。高校教育課の担当者は「学区廃止を求める声は届いている」とした上で、「教育の機会均等や、生徒の能力・適性に応じた適切な学校選択ができるよう考慮した制度であり、撤廃すると特定の学校に生徒が集中する可能性がある」と説明する。
確かに、近年は少子化が進み、応募者が入学定員を下回る学校も複数出ている。
県教委は1999年に「1学年の望ましい人数は240~320人」とする基本方針を示した。
しかし、定員自体がこの基準を下回る学校も少なくない。
一方、福岡市内では倍率が1・5倍を超すところもあり、学校間の格差が広がっているようにも見える。
学区の線引きは複雑だ。
福岡市や北九州市、久留米市では区や市域とは異なる区分けがされているほか、同じ中学でも学区が分かれるといった例外も多い。
県立全日制普通科高校の「特色のあるコース」については、2017年度から県内全域で受験が可能になった。
県全体としては人口減が進む中、福岡市や周辺市町では今後も増加が見込まれる。時代に合った学区のあり方を巡って、さらなる論議を呼びそうだ。
以上、西日本新聞meの記事全文
●まとめ
福岡県の県立高校普通科では13学区が設けられ、学区内でしか高校を選べない仕組みになっています。
他県では学区を廃止する動きが進む中、不公平感を抱く声も上がっています。
特に福岡市内の「御三家」と呼ばれる進学校では難関大学への進学者が集中しており、地域間格差が目立ちます。
県教育委員会は、学区制が教育機会の均等を図るための制度であると説明しつつ、特定校への集中を防ぐ意図もあるとしています。
しかし、少子化による入学定員割れや学校間の倍率差が課題となっており、学区線の見直しが今後の議論を呼びそうです。