【福岡県の公立高、一般入試枠が総定員の5割切る「特色化選抜」の導入が急拡大】(6/17 西日本新聞から)
福岡県内の全日制公立高校の2024年度入試で、一般入試枠の割合が総定員の半数を下回ったことが、西日本新聞の取材で分かった。
少なくとも15年度以降で初めて。20年度に始まった私立高の授業料実質無償化もあり、多くの公立高で定員割れが発生。学力検査の代わりに面接や作文を課し、私立高の一般入試より早く合格者を内定する「特色化選抜」の導入が急速に広がっているためだ。
一般入試枠の人数は、特色化選抜や学校推薦による各校の内定者数が決まった後に、定員総数から引くことにより算出できる。
福岡県内の公立高では24年度、県立90校▽市立7校▽組合立1校-の計98校で入試があった。
入学定員総数2万4280人のうち、一般入試枠は1万844人(44・7%)。一方、特色化選抜の内定者は8021人(33・0%)で、学校推薦の内定者は5020人(20・7%)だった。
本紙が過去10年分の定員の内訳を調べたところ、15年度は8割近くが一般入試枠だった。20年度までは一般入試枠が7割代で推移し、それ以外の大半は学校推薦で入学が決まっていた。
この状況に大きな変化をもたらしたのが、生徒の多様性を評価することを狙いに掲げて福岡県で19年度から導入が始まった特色化選抜だ。
受験生本人が志望校に直接自己推薦。調査書(内申書)の評定や部活動での実績などの選考基準を学校ごとに設定し、面接や作文などで合否を決める。
19年度は公立高11校が採用し、22年度から急増。24年度は公立校の7割超の72校が実施し、定員に占める特色化選抜の内定者の割合が初めて3割を超えた。
背景にあるのが、20年度からの高校授業料の実質無償化だ。学費を気にせず受験先を選べる生徒が増えた結果、私立高に進む生徒が増加。
23年度入試で、県立高90校のうち43校で計996人の定員割れが生じた。「歯止め」の一つとして、私立高の一般入試より早く内定する特色化選抜を導入しているとの見方がある。